ズボンを希望してもスカートを履けと一喝される
制服に女性らしさを求める時代は終わった。
この記事の【目 次】
あらゆるサービス業の女性用制服に、スカートしか選択肢がないことに悩む女性が多くなった。
盗撮、セクハラ……タイトなスカートに抗議したら腹筋を指導されたというケースも。
制服がない職場でも「ズボンは女の作業着」と揶揄(やゆ)されスカートを買いに行かされた、「客に会うときはスカートを履け」と指導されたという女性もいる。
航空関連産業で働く人たちの労働組合である航空連合が2019年春、1623人の客室乗務員に機内の迷惑行為などについてたずねたところ、盗撮や無断撮影された経験が「ある」または「断定できないが、あると思う」と回答した人が、合わせて61.6%と約6割を超えた。
「支給された制服がスカートで、運転業務だと車の乗り降りがしにくい、取引先で相手から不快な視線を受ける(セクハラ)、重い荷物等を運ぶ時に動きづらい」(女性、20-24歳、医療・福祉)
「なぜ女性の制服はスカートなのか。幼い頃のトラウマで脚を出すのが好きではないし、生理の時は体が冷えて調子が悪い。女性でもスラックスを選ばせて欲しい」(女性、35-39歳、卸売業・小売業)
「女のみ事務服強要。着替えの時間は勤務時間外、特に朝は男性より早く来ないと遅刻リスクも洗濯の手間も増える。制服必須=スカート必須となるので冬は寒く、スカート短めで気になる」(女性、40代以上、製造業)
「基本は男女問わず同じデザインのシャツとパンツの制服だが、最近新設された接客担当の役職のみ、女性だけスカート、ヒール、首にスカーフ。時代に逆行していて閉口した。これからの時代は選択させるべきだと思う」(女性、35-39歳、宿泊業・飲食サービス業)
「ズボンを履いていて、社長(男性)に『足見せろ』と叱られたことがある。女性ばかり見た目に気を遣うことを求められるのは不公平だし、気持ちが悪い」(女性、25-29歳、情報通信業)
「女性には大人しめのスカートを求められる。パンツスーツを履く同期を社長がよく思っていないのが伝わってくるので、空気を読んでスカートを履かなければいけない」(女性、20-24歳、マスコミ)
国内の大手メーカーでエンジニアとして働くDさん(30)がパンツスタイルで出勤したときに、職場の男性から言われた言葉だ。
大手百貨店のインフォメーション(受け付け)で働くBさん(女性、20代)も、制服のスカートに悩まされてきた。現在の制服はワンピース。ベビーカーや車椅子を貸し出す際に動きづらく、「本当はパンツスーツで働きたい」(Bさん)という。
過去に商業施設の受け付けとして働いていたときは、深いスリットの入ったスカートが制服だった。上司からは「おじぎをするタイミングで後ろから盗撮されることもあるから、気をつけてね」と言われていたそうだ。
「いやいや気をつけられないから、と呆れました。私たちにそんな注意をするより、盗撮をした人に毅然と対応したり、制服にパンツスーツを認める方がずっと被害の改善に近づくはずです」(Bさん)
JR東日本は2020年5月からスカートを廃止し、制服での性差をなくす。現在は「みどりの窓口」や「びゅうプラザ」など一部の駅社員の女性がスカートを着用しているが、今後は駅社員・車掌・運転士が全て同じ制服を着用することになる。同社広報によると、制服を一新することを検討し始めたのは2年ほど前。動きづらいことなどから、「スカートは不要」という声が社内から多数上がっていたそうだ。
日本航空は2020年4月から、女性の客室乗務員に同社初となるパンツスタイルを採り入れると発表。
This website uses cookies.