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新型コロナウイルスの感染拡大で品薄状態が続いているマスクについて、取得価格を超える値段での転売が15日から政令で禁じられます。
違反者は摘発対象となり、1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科される。インターネットの大手オークションサイトなども出品禁止に乗り出しており、不当転売行為を排除する環境が整いつつある。
規制対象となるのは、家庭用と医療用、産業用のマスク。個人や業者がドラッグストアやネット通販などの小売り事業者から入手したものを取得価格よりも高値で転売した場合に違反となる。本体価格を安く設定して高額の送料や手数料を請求したり、オークションで値段がつり上がったりするケースでも、取得価格を超えれば違反になります。
マスクの製造業者から卸売業者間、卸売業者から小売店間の取引は通常の商取引であるため規制対象には含まない。親族や友人間での融通や、小売店による消費者への販売も転売行為に当たらないため対象外だ。
高値での転売を把握するため、経済産業省は電話などによる通報窓口の設置を検討。摘発を担う警察は「サイバーパトロールや情報提供などを基に悪質なケースを割り出す」(捜査関係者)という。ネット上で転売が疑われる場合にはIPアドレスなどから出品者を特定。購入した状況や価格を捜査で絞り込み、裏付けを進めるとみられる。
大手サイトも政府の対応に呼応して規制に乗り出した。ネットオークションの「ヤフオク!」やフリーマーケットアプリの「ラクマ」と「メルカリ」が出品を禁止。取引可能な場が狭まることで取り締まりとの相乗効果が期待される。
マスクの転売は「国民生活安定緊急措置法」に基づき禁止される。昭和48年の第1次石油危機時に制定された同法は物価高騰などに対処するため、日常生活に不可欠な物資を国が指定して売買を制限できると定めている。政府は同法の政令改正を閣議決定しており、15日に施行する。
「定価1000円未満の不織布(ふしょくふ)マスクを1箱6000円で転売しています。1日に平均100〜200箱、調子がいい日は200箱以上売れます。新型コロナウイルスが流行してから2000万円は稼ぎましたよ。こんなにボロい商売はありません」
女優の木村文乃に似た30歳の中国人美女は悪びれることもなくそう語った。
〈マスク完売しました〉
今、日本中のドラッグストアの店頭にそんな告知が張り出されている。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、マスクの品薄状態は当面続く見込みだ。…
新型コロナウィルスの広がりで、マスクのみならず、アルコール消毒液や除菌ティッシュなど、「除菌」と名の付く商品が軒並み店頭から姿を消している。
「1年分くらい売れちゃったという勢いでした。ウィルス除去商品はたくさん積んであったのですが、すぐになくなってしまいました」と話すのは、東京・千代田区のニシザワ薬局神田店の木村直弘さん。「買えればいいなと思いながら、毎日、薬局をのぞいていますが、なかなかないですね」と買い物客はあきらめ顔だ。
業界団体「24時間フル操業でも買い占めで安定供給できない」
一方で、ネット上では高値での転売が横行している。「薬局に行っても売り切れ状態。転売目的の大量買い、やめてほしい」という声があるなかで、通常の10倍の値段でマスクを転売している業者は、「ほとんど中国人が買っていきます。もっと高くても買ったんじゃないかな。1週間で100万円ぐらい利益が出た。おいしいですよ」と悪びれる様子もない。
全国マスク工業会によると、加盟しているすべての国内マスクメーカーは現在、24時間フル稼働しているが、「消費者の異常な購入行動が落ち着かなければ、いつ安定供給できるのか見通しがつかない」という。
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